PROLOGUE

「紡」「和」「響」「流」「結」
「紡」「和」「響」「流」「結」

このHPの一頁目に設けたプロローグについて。

辞書で調べるとプロローグとは、「本筋の展開に先立つ前置きの部分、序章、又は物事の始まり。発端。」とあります。2018年のIAG AWARDSに出展するにあたり、展示作品の説明文として書いたのがそのプロローグの文章でした。五点の展示作品で作家として出発しました。そしてそのタイトル「紡」「和」「響」「流」「結」は、まさに私が絵を描くに至った発端、いきさつ、物語のキーワードであり、各々の作品でその情景を描いています。

終着点かつ出発点でもある"結"-むすび-、そこに立ってから早2年、あらためて作家として何を表現したいのか、またできるのかを考えています。自分の内にある光、それはあたかも悲しみや苦しみ、闇、影といったものの表裏にあるかに思えますが、果たしてそうなのか、光はいかに生まれどこに向かい、また何を成し得るのか、そして一番大切なこと、それをいかに表現するのか、作家としての主軸を確認するため、少し立ち返っています。


PROLOGUE

空の青に心奪われた幼き頃。流れゆく白い雲や一面のすみれ畑、風にそよぐ新緑やこがね色に輝く稲の波、今もなお鮮やかに浮かぶそれらの情景に心が弾んだ。自分のうちには、夜の木にたわわに実る星たちが次から次へと川に落ち、さらさらと流れゆくさまを思い描き、その流れの中でがれた微かに、また静かに煌めく金と銀の糸が何かを織り成し始める。

  しかし、自分が追い求める世界と現実世界とのギャップに戸惑い、現実を生きなければと奮起した過去の自分。そして紆余曲折を経た今、これまで混沌とした世界の中で矛盾し相反していた様々なものたちが、融合し調をとりはじめた。それらは、き共鳴することで新たな生命となり、弾け、輝き、ひとつのれとなり、終着点に達した。それは過去から現在にいたるびであり、また同時に未来へと繋がる出発点でもある。