出会い、そして感謝

 大学時代、神父でもあった史学科の教授のテーマはいつも「出会いとは」で、授業も著書もお話しされることはほぼ「出会い」。何度も繰り返し発せられるその言葉にそれしか言わないのかと少し呆れぎみでしたが、ここにきてその大切さをひしひしと感じていて、昨日もふとこの教授のことを思い出しました。

 作家として活動を初めてから、活動していなければ決してお会いできなかった何かを成し遂げられた魅力ある方々とのたくさんの出会いがありました。それだけでも自分が作家活動をしている意味があると思えます。昨日もそんな大切な出会いがありました。その作品の魅力にずっとお会いしたかった現在大阪高島屋美術画廊で開催中の日本画家中堀慎治さんが出品されている展覧会に伺い、たくさんお話しさせていただきました。楽しくて時間を忘れ、気づけば閉館間近、お帰りの時間に。どこのだれともわからない、何者でもない私に対し、とても紳士的に、また言葉を丁寧に選びながらお話ししてくださるご様子に誠実なお人柄を感じ、とても心地よい空間と時間でした。ご自分の学生時代に現在の私を重ねてくださったことにジンとして泣けました。和紙のお話から五感についてのお話、制作の原動力、人として作家として大切なこと、、等々興味ある話は尽きず。そして、過去7000本、これで絵を描かれてきたという大切な筆と中堀さんが手作りされた筆入れをプレゼントして頂きました。長い筆先と跳ね返しのあるこの筆を使いこなすためにはまだしばらく練習が必要ですが、どのように自分の作品が広がってゆくのか楽しみです。

「琴線に触れる」、私が作品に求めるそれが、様々な角度から実感し考えることができた大切な一日となりました。そして、日頃虚無の中にいる私が、ひとときそれを忘れることができた気がします。