作品が完成し、以下のステートメントをまとめました。
「この作品は、過去-現在-未来という直線的な時間の流れを表す時間の縦軸と、空間的な広がり、同時性、可能性、または主観的な時間感覚などを内包した時間の横軸を表現している。
縦軸の常に消滅していく時間に対して、時間の横軸は人と人、人と物・事象・自然等とのつながり(関係性)による時間としてとらえることができる。たとえばその人が亡くなってしまったとしても、その人との関係性があるかぎり過去にその人と共有した時間は現在も存在し消え去ることはない。
また、自然との関係において季節がめぐることは周期的事象であり、それは円環的な時間とも言える。その円環的時間の中で人は自然との関係性を築き、それを通して創造的な営みを生み出す。
そして、縦軸を過ぎ去る時間、横軸を空間的な広がりを表すものとして捉えることで、同時性や複数の展開を表現でき、例えば時間経過と異なる国や文化における出来事を同時に視覚化することが可能になる。
このように縦軸の時間に組み込まれ生きている私たちは、同時に様々な関係性の中で多種多様なな時間を生み出していると言える。時間を編むとは人が生きることであり、人が豊かに生きるための可能性を秘めている。そしてそれを編むのは人に他ならない。」
今後も内にて紡がれた糸を紙面に編み描く=幾何学模様を規則性を持って描き連ねるという表現方法によって、時間をテーマにした制作を続け、人間の生についての考察を深めていきたいと思っています。